04/18/2005

エッシャー展

高校の同級生、彩さんに誘われて、大丸心斎橋でやっているエッシャー展に行く。エッシャーにはあまり思い入れがなかったのだが、回顧展みたいになっていて、なかなか面白かった。

escher

若い頃の作品をみてまず思ったのは、「これはマンガの技法じゃないか」ということ。エッシャーは基本的に木版画のひとなので、線と面、それに多板刷りによる濃淡で勝負するしかない。版画ではごく当たり前の技法なのだろうけど、これがペンとベタ、それにトーンによるマンガの表現に良く似ているのだ。初期のエッシャーは、この技法を使って面をどう表現するかを考えている。輪郭線、削り残しによる表現の試作をへて、平行線と集中線による平面の表現にいきつく。これが一つの流れ。

もうひとつ、若いエッシャーがやっているのは遠近法の実験。建築学科の出身ということで製図法にはこだわりがあったらしく、二点透視、三点透視、そしてパースを狂わせる多点透視など、風景(版)画で色々やってみている。

で、この二つの関心が合体してあの有名が一連の騙し絵になるわけだが、個人的にはその辺にはあまり感銘を受けなかった。というのは、「ネタ」が透けて見えるような気がするからだ。

それよりも、球面投影法みたいなのをやっている作品とか、遠近法と曲線を組み合わせて何か複雑なことを試みている絵などに可能性を感じる。
「水たまり」のような、平面状に二次元と三次元の組み合わせを表現するという美しい絵もあったりするのだが、彼はその方向にも行かなかった。

でも、まあ、そんなことを言っても仕方がないわけで、要はエッシャーがやっているいろいろな試みを楽しめば良いのだと思う。版木も見られたし、一時間半くらい、たっぷり堪能した。

10:42 PM [文化・芸術] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

03/15/2005

寄付か税金か:NHKの受信料

ルビーな日常さんの記事を読んでいて、前に書いた受信料の話がちょっと整理できてきた。

要するに、国及びNHKにとって受信料は「テレビという贅沢品にかかる付加価値税」なのだ。そういう贅沢なモンを買う余裕があるんだったら、放送文化の発展のために何がしかを寄付しなさいよと、そういう話である。
嫌ならテレビなんか持つな。テレビがない奴は街頭テレビとかでニュースをフォローしろ、とまあ、そんな感じの発想になっているのではないかと想像される。

他方、テレビを見ている我々の感覚では、受信料は包括型のPPVだ。コマーシャルを見ないために受信料を払っているわけで、NHKを見ないのなら払う必要はないとなる。

この二つのどちらが現実にフィットしているかといえば、もちろん後のほうである。

例えばブロードバンドなどの場合と比較すると分かりやすい。我々は現にサービスを供給しているプロバイダー(とADSLの場合はケーブルを所有しているNTT)に金を払う。サービスに対価を出しているのであって、LANコネクタ付のパソコンを買うたびに、プロバイダ育成料を別に払ったりはしない。

あるいはもう一つ別の譬えを出すと、自動車重量税である。これは自動車保有者に対してだけ掛けられる税金で、主に道路建設に使われる。その意味では受信料に発想が似ているのだが、NHKと決定的に違うのは他局がないことだ。道路がなければ自動車は使えない。しかし、テレビにはNHK以外にも何局も放送局があるのだ。

以上、冷静に考えると、どう発想しても受信料には無理があるといえるだろう。ここまでは、議論がごくシンプルだ。問題は、では公共放送をどうするのかということである。

ひとつに、廃止という考え方がありえる。市場原理にゆだねるという意味では、完全PPV化も同じことだ。メディアとしてはそれで問題がないのだと思う。新聞は全部民営だけど、それで問題が生じたというような話も聞かない。
とはいえ、芸術として考えた場合には、舞台でも絵画でも完全に民営でやっているところのほうが少ないのだから、補助は必要だろうという気がする(売れる絵が良い絵なのかという問題。何もかもがラッセンになっても困る)。

そしてもちろん、全てを国民がコントロールしてしまうと実にツマラナイ物ができるだろうという問題もある。全部投票で決めててご覧なさい。今頃、宮崎駿は「トトロ3」と「ラピュタ4」を作ってるから(というか、そもそも「コナン」が打ち切りになった時点で世に出てない)。これは基本的に完全民営化の場合と同じ問題だから、どこかで審議会見たいものをかませないといけないという話になる。とはいえ、それで国民の理解は得られるのか。

というわけで、このあたりをマッチングさせるのは実に難しそうだ。BBCやPBSは、どうやって運営されているんだろう?

03:05 PM [文化・芸術, 社会ネタ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック